2012年3月31日土曜日

2011年 - 強いセールスチーム

前述したとおり、2010年に発表されたYahoo!Japanとの提携をきっかけとし、それが実際に開始される2011年中には、自分自身は新たな道を進もうと決めていた。
しかしながら、年初より自分の責任範囲は広くなり、総勢約25名で約1,000社近くの広告主のお客様を担当する、第二広告営業本部を統括することになった。
非常に遣り甲斐のあるポジションを与えてもらった光栄なことであり、自分としてはこの一年をGoogleでの仕事の総決算とするつもりで臨んだ。


一言で言えば、個の力ではなくて、組織力でお客様の問題解決にあたるマインドを強くもったセールスチーム、個々は競争しながらも、目標達成のために一丸となれるような明るいチームをつくることを最後の目標に設定した。
それは、自分がGoogleでの仕事を通じてなかなか得ることのできなかった環境であり、だからこそ、少しでもそうした環境づくりを最後にできれば、と思ったからである。


Googleは社員間の競争が激しい会社であり、ともすれば個人商店になりがちなところもある。
採用も積極的に行っており、"その時必要な人材は広く外部から調達してくる"  という、スポーツで言えばニューヨーク・ヤンキース、読売巨人軍のような発想を持った会社(ヤンキース、巨人以上に)というのが私の経験に基づいた印象である。
なかなか心の通ったチームワークが育ちにくい土壌と言ってもよいだろう。
それゆえ、自分がGoogleで働いてきた八年間、孤独を感じるようなことも多々あった。
そんな自分が経験してきたGoogleのセールスチームに"Share your best practices" のattitudeを根付かせ、チームのミッションである
" Share the power of Google online ad products to grow mid-market businesses"
の実現と目標達成に向けて協力しあい、課題を抱えているメンバーがいれば皆で解決するという強いセールスチームをつくろうと心に誓った。
第二広告営業本部は若くてスピード感を持って仕事に取組む社員が多く、このメンバーならそれを実現できると思っていた。


我々のお客様は、伝統のある大企業・ナショナルクライアントといった企業ではなく、いわゆるネットベンチャーと括ることができる企業。
まず、チームを4つのグループに分けた。1,2,3のグループはお客様の業種別に分かれ、お客様のマーケティング課題を解決するために、AdWordsをフル活用してもらう継続的な提案活動を中心に行った。ここでは、お客様の課題を深く理解することに加え、それを解決する具体的なAdWords活用提案をするための深い製品知識が求められる。
4つめのグループには、ひとりあたりの担当顧客数が圧倒的に多くなるが、スピード感を重視した提案活動をスケール感を持って行う、というGoogleならではのチャレンジに取り組んでもらうことにした。
このグループに求められるスピード感は非常にハードルが高く、極力無駄を排した電話営業や代理店とのスケーラブルな協業が必要になってくる。
これら4グループ全てが、どんなに会社から高い目標が与えられたとしても、常に積極的に取組む
姿勢に溢れており、あらゆるアイデアを議論してすぐに実行する気持ち良さがあった。
詳細は割愛するが、それらのアイデアから実現した営業施策の一部をご紹介すると、、


春のパン祭り
南部せんべいお届けプロジェクト
冷し中華はじめましたキャンペーン
Google福袋
・・・・・・・・


一見おふざけのようにも見えるが、いずれも中身は広告主、代理店とのエンゲージを深めながら、Google AdWordsを更に活用してもらう工夫をこらした企画であり、我々第二広告営業本部が独自で発案して実行したものである。


その中で簡単に説明できる、東日本大震災後の"南部せんべいお届けプロジェクト"をご紹介したい。
3月11日以降の春先は、積極的にお客様とビジネスの話をするといった環境になく、日本人の多くが悲しみや喪失感、不安な気持ちにかられていたと思う。
我々の中で、お客様と未来について話をするきっかけが欲しく、そして、甚だ微力ながら東北の産物を消費することで何か役に立てることがあるのではないか、という話をしていた。
そして、我々が担当している全てのお客様に岩手県の南部せんべいをお渡しすることにし、お客様との未来に向けた対話のきっかけをつくることにした。


このようなアイデアが自発的、主体的にうまれてきて、それを素早く実行するといったことが当たり前のように行われる、”鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス” の気風に満ちたチームでお客様との仕事に取組めた2011年には何の悔いもなかった。
素晴らしいチームに恵まれたおかげで、自分自身も皆に負けないよう向上することができたと感謝するばかりである。


Googleは常に変化を求める会社であり、変化すること自体が目的化しているような一面も併せ持った組織である。
2011年の年末、Google worldwideの営業を統括するSenior Vice Presidentの鶴の一声により、世界各国のセールスチームが個別の事情を忖度されることなく、同じ方針で同じかたちで再編成されることになった。
そのため、Google Japan第二広告営業本部の面々も、2012年から各自が異なるチームで活躍することになったが、それまでの充実した仕事ぶりからしても、どこにいっても活躍しているに違いない、と私は思っている。





 

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