当時のGoogle Japanの重要な営業戦略は、少ない人数でより多くの広告主に販売するために、広告代理店との連携を深めるというものであった。
インターネット広告販売に特化したネット専業広告代理店(サイバーエージェント、オプト、セプテーニ、日広、トランスコスモス)、SEM特化代理店(アイレップ、アウンコンサルティング)、総合広告代理店(電通、博報堂、ADK)、中堅規模の広告代理店、地方代理店、、等々、広告代理店の営業支援、並びにAdWordsを販売してくれる新規広告代理店の開拓を行う業務であった。
5人目の営業マンであった自分は、中堅規模の広告代理店(ネット専業、総合代理店)並びに新規代理店の開拓を担当することになった。
日本において、AdWordsは2002年9月に販売開始され、この時はそれから1年以上経っていたが、2003年から販売を開始した代理店が多く、特に中堅規模の代理店では、AdWordsに関する販売経験や実践的な知識が豊富なところは少なかった。
また、当時Yahoo!JapanはOverture,Googleの両者と提携していたため、その検索結果にはOvertureとAdWordsのどちらかがローテーションで掲載されることになっていた。
例えば、Yahoo! Japanで「自動車保険」と検索したときに、ある時はOverture社が販売した広告が掲載されており(この時はGoogle AdWordsは掲載されない)、またある時はGoogleが販売したAdWordsが掲載されている、といった具合である。
つまり、広告主はGoogle AdWordsを購入すれば、Yahoo! Japanにも掲載することができたのである。
そして何よりも重要な事実は、当時はGoogleを利用しているユーザーはYahoo! Japanと比較すると圧倒的に少なかったということである。
Yahoo! Japan :Google =3:1と言われていた。
このような状況の中、実際のAdWordsの営業現場は、
“Googleを買えばYahoo!Japanにも掲載されます!”
が決め台詞というものであった。
自分自身がそういう台詞を使っていたかどうか、ということではなく、AdWordsを利用したことのない新規広告主を説得するための営業現場でのいちばんの手っ取り早いセールストークがこれなのである。
実際に、広告主に対する営業現場で代理店さんの口から何度も聞いた台詞である。
また、日々の問い合わせの大半が、
“購入したキーワードでYahoo!で検索しても掲載されていないんだけど、どうして?”
“健康食品のお客さんがYahoo!で検索しても出ていないけど、どうして?”
“このキーワードって、Yahoo!では審査とおりますか?“
といったYahoo! Japan絡みのものであり、まるで自分はYahoo!の営業メンバーかと思ったくらいである。
前回のエントリーで、”Yahoo!に一泡吹かせたい”といきがっていた自分の言葉を紹介したが、現実はYahoo!Japanに一泡吹かせるどころか、彼らの名前を借りてお金儲けをしているのであった。
自分としては、来るべき時に備えて満を持すといった心境を忘れずに仕事に取り組む毎日であった。
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