2012年3月14日水曜日

2006年 - あちら側、こちら側


直前のエントリーで、この年から、ビジネスパーソンにおけるGoogleへの注目レベルが一段階あがったと書いた。
これについては、この年の2月に梅田望夫氏が出版した”Web進化論によるところがおおきい。
「チープ革命」「オープンソース」「あちら側とこちら側」 という印象に残る分かりやすい言葉により、インターネットは、それを利用する一部の人に影響をもたらすだけではなく、社会、ビジネス全体を変革していくということが説明されており、その説明の中心にGoogleが取り上げられているのである。
この本により、インターネットと自分との関わりを限定的に考えていた人たち、特にそのようなタイプのビジネスパーソンからのGoogleへの関心が一気に高まったのを、日々の仕事の中で実感していた。
例えば、初めてお会いする企業の役職者の方々から、あちら側、こちら側 という言葉が口をついてでてきて、Googleへの期待感が語られるということが起きるのである。

通常、ビジネス上のお付き合いをはじめるうえでは、自分の属する会社への興味関心を持ってもらうまでに相当のコミュニケーションコストが発生するものであるが、梅田氏のWeb進化論により、お会いする方々が事前にGoogleに関する妄想とも言えるような期待感を持ってくださる、という現象が起き、これは我々にとって大きな後押しとなったことを肌で感じていた。
ちなみに、Web進化論を読んだ方はご存じの通り、その内容は手放しでGoogle礼賛というものではない。特にGoogleのコーポレードガバナンスについては、梅田氏は強い批判をIPO当初より続けており、その内容が本書にも反映されていることも付け加えておきたい。


2人の創業者が、一般の普通株に比べて強い議決権を持つ別種の普通株を保有し続ける構造をGoogleは提案しているが、これは許容すべきではない。そして、もっといえば、その背後にあるGoogleの唯我独尊的経営思想に危険を感じ、深く懸念する。株式公開という重要なターニングポイントにおいて、その 点を、きっちり創業者たちにわからせておかなければならない。 
-2004年IPO時における梅田氏のコラムから抜粋



 

0 コメント: