その理由を自分なりに振り返ってみると、
1.広告代理店さんのお蔭もあり、AdWordsのお客様数が右肩上がりで増えていった
2.その伸張率と比較すると、Google JapanでAdWords Salesに関わる社員数が少なかった
3.この年から、ビジネスパーソンにおけるGoogleへの注目レベルが一段階あがった
といったことが挙げられる。
お客様が順調に増え続けたことは嬉しいことに違いないのだが、思い出してみると、自分が担当しているお客様数(AdWordsアカウント数)が、あまりにも多かったというのが正直なところである。
前述したとおり、この年も、営業に関わる社員は、広告代理店の営業担当をしていたのであるが、自分はこの当時には、規模の大きいオンライン広告代理店をはじめとして約20の代理店を担当しており、それらの代理店が持っているお客様数の合計が約900くらいあった。
毎日数件の外出、戻ってきたら留守番電話と問い合わせメールがたまっているという状況であり、充実した日々であったが、お客様への対応スピード、質の点でご満足いただけていない、という実感もあり、とにかく自分の手を休めることなく動かすことしかなかった。
何よりも、お客様からの問い合わせに答える時間だけでかなりの時間を使ってしまい、こちらからの”プロアクティブ”な提案を行うのは、大抵夜も深まったころ、という状況であった。
私は、”どれだけの数のお客様を何人の営業社員で担当するのか?”
というテーマは、会社のP/Lとマネジメントの哲学に大きく依るものだと考えている。
Googleのビジネスは、決算資料をご覧になればわかるように、結果として高い利益率となっているが、その根底にある考え方は、スケーラビリティとそれを可能にするテクノロジーの追求である。
顧客増に対する従業員増のカーブをいかに緩やかにできるか、ということを経営上のテーマとしており、それを実現するためのテクノロジーに投資をしていく、という考え方である。
例えば、一人のお客様からの問い合わせに答えるのであれば、それをオンラインセミナーのようなかたちでオープンにして、同種の質問を持っている複数のお客様に同時に回答する、といったことが、わかりやすい例として挙げられる。
もっとも、このGoogleの経営哲学のようなことを実感したのは2008年頃のことで、この当時はそれ以前の問題であり、会社の急成長に人員計画が追いついていなかった、というのが実状であったのではないだろうか。
当時、ひとりの営業担当としてお客様を前にして思っていたことは、仕事のスピード、質を高めることを過度に個人に依存していては、組織としての対顧客満足度を高めるには限度があるし、それでは我々の競合相手には勝てないということであった。
マネジメントの哲学、ということでいえば、サービスレベルを保つためには、お客様30社(例)に対して担当営業ひとりをアサインする、つまり、お客様数に正比例して担当営業数を増やすと明言していた楽天には確固たるものがあり、それは前述したGoogleとは異なる方向性ではあるが、顧客満足を重視して、その対価を支払うというその明確な姿勢には、個人として頭が下がる思いがしていた。
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