そして、良くも悪くも、日本独自の判断で進めてきたことを一から見直すことになったわけだが、この流れは2008年から少しずつはじまっていた。
大きな命題として取り組んだのは、
"適切な営業サポートを適切なお客様に提供する" (Providing right support to the right customer)
ということであった。
それを実現するために掲げた大きな方針は以下となる。
1. 企業規模、広告宣伝費(インターネット広告費に限らず)の多い企業を割り出し(いわゆるナショナルクライアント)、それらの企業とGoogleとのリレーションを築きあげ、Google製品の活用を促すことを可能にする営業活動の基盤をつくる。そのセールスチームは業種別に分かれて、専門性を発揮する。
2. インターネットによるビジネスがその企業にとっての主な収入源であり、インターネット広告の活用がマーケティング上最重要課題である企業について、スピード重視で提案できる営業部隊を質、量とも強化していく。このセールスチームは、AdWordsの具体的提案を数多く実施し、お客様のマーケティング課題を解決することを目指す。
*ちなみに、この部分は私が2008年から取り組んでいたことである。
3. 月額数千円、数万円のご利用金額ではあるが、継続的にAdWordsをご利用してくださるお客様ー このゾーンは顧客数が多いため、Googleが持つテクノロジーの活用等の工夫により、スケーラブルな(かつ品質の高い)サポートを提供することを目指す。
4. Google自身で新規顧客開拓を組織的に行うチームを立ち上げる。
この4つは、いずれもGoogleのアメリカ本社をはじめとした各オフィス、ヨーロッパですでに行われていたことであった。
これまで述べてきたように、Google Japanは、"広告代理店に対する営業活動を中心に行う" というのがAdWordsセールスにおける大きな方針であり、多くのリソースをそこに割いていた。
もちろん、上記の4つを実現するためには、広告代理店とのパートナーシップが必要になる局面が多々あるので、今後は広告代理店への営業活動には力を入れないという意味では全くない。
Googleとしての上記の大方針のもと、代理店とは主体的かつ戦略的にビジネスを行う、ということを目指したかったのである。
そして、これを実現するために、セールスチーム内での担当顧客変更、仕事内容と担当の見直し、新チームの設立、新規採用といった施策をうった。
自分の最も大事なミッションは上記2を実現することであり、そのために仲間達と全力で取り組んだが、自分としてはそれだけがうまくいったとしても合格点にはならない、という意識を強くもっていた。
なぜならば、2009年の大目標は、AdWordsセールスチーム全体として
"適切な営業サポートを適切なお客様に提供する"
ということを実現することであり、そのために上記4つの大方針を掲げたからである。
自分が主として取り組むのは、そのなかの2の範囲ではあるが、4つの全てを実現するために、自分ができることは全てやりたい、と思い、実際に関わらせてもらった。
この年に我々が取り組んできたこと、実現したこと、、これに対してお客様から評価していただき、数字上の成果を残せるようになるまでは、約一年かかってしまったかもしれない。
この一年は、より良いサービス、顧客満足、そしてGoogle Japanの更なる発展のために新たな方針を掲げ、それまでのやり方を変えることに仲間たちとチャレンジした一年であった。
気がつけば、あっという間に一年が過ぎていた。
この年の大きな変化としてもうひとつ記しておきたいこと、それは1998年のほぼ創業時から全世界のGoogleのビジネス責任者であったSeior Vice Presidentのオミッド・コーデスタニが一線を退いたことである。(日本在住経験もある彼により、日本はアメリカ以外の国で開設された最初のInternational officeとなった)
後任は、2004年からヨーロッパのセールス責任者だったニケッシュ・アローラとなった。
この年はアメリカの大統領がブッシュからオバマに代わり、様々な政策転換がドラスティックに行われはじめたが、Googleのビジネス責任者の交代もそれと同様のチェンジをもたらすことになった。
アメリカ企業において部門のトップが変わると、ここまで変わることになるのかと、この後ことあるごとに思い知らされることになる。
2009年の参考情報
日本のインターネット広告費
7,069億円 (対前年比+1%)
*出典:電通「日本の広告費」
Google 年間売上高 (全世界の売上)
23,651百万ドル(対前年比+9%)
主なニュース
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