この年は、ここ1,2年で新たに仲間に加わった活きの良い若いメンバーと共に、自分のチームでの仕事に専心した。
我々のチームのお客様は、インターネットによるビジネスがその企業にとっての主な収入源であり、インターネット広告の活用がマーケティング上の最重要課題である、といった企業であったので、Googleのセールスである我々からの情報や提案を非常に熱心に聞いてくださり、その提案内容に同意していただければすぐに実践していただくという、非常に恵まれた環境であった。
どのお客様も経営にスピード感があった。
これらのお客様は伝統のある大企業・ナショナルクライアントといった企業ではなく、いわゆるネットベンチャーと括ることができるお客様が多かった。
セールスの我々が普段コンタクトをとる方々は、企業における意思決定者に近い場合が多く、自分も多くの経営層の方々と接する機会を持つことができた。
そうした環境の中、Google のセールススタイルとして会社からも推奨され、私自身も常に意識的に実践し、そしてチームにも促していたことは、
"お客様の話を良く聞き、情報を引き出し、課題を共有すること”
ということであった。
はじめからGoogleやAdWordsの話しをするのではなくて、とにかく話を聞く、ということである。
ある程度経験を積めば、自然な流れでお客様から情報を聞いて課題にまで到達できるが、そうでないケースでは、それを実践するための決まった質問シートを持参するよう促したものである。
お客様の課題を共有できれば、自ずとその解決のためにGoogleができることが見えてくる、というのがその背景にある考え方であった。
そして、それが可能なのはAdWords をはじめとするGoogle製品の品質の高さによるものであった。
"どんな時に、Googleで働いていちばん良かったと思いますか?"
という質問を、採用面接の面接官をしている時に良く聞かれたものであるが、その時に私は決まって以下のように答えていた。
"私はずっとセールスとしてGoogleで仕事をしてきました。通常、会社の営業マンというのは、自社製品の売り込みを、時にはちょっとしたうしろめたさを持ちながらやらなくてはいけない。この製品は本当にお客様にとってベストの選択なのか?と自信を持てないこともあるのです。だから押し売りっぽくなったり、値下げをしてそのうしろめたさを解消したりすることもあります。
でも、Googleではお客様の課題を解決するためにどうすれば良いのか、ということをまっすぐに考えて、そのために知恵を絞って提案すれば良いのです。
これは、非常に恵まれたことであり、セールスとしての本来の仕事に邁進できる環境に感謝しています。"
" Share the power of Google online ad products to grow mid-market businesses”
これが、自分が属する Google Online Sales GroupのリーダーであったVPのクレア・ジョンソンが世界共通に掲げたミッションであり、このミッション、特に
"grow mid-market businesses" は自分自身の性格と成し遂げたいことにぴたりとはまったものであった。
そして、このOnline Sales Groupというチームで、経営層のお客様と接点を持ち、彼らが日増しに成功をおさめていくことを目の当たりにするに連れ、自分の中で経営者に対する憧れや、小さな企業でも良いからいつの日か自分がその立場で仕事をしてみたい、という気持ちが湧いてきていた。
自分が接した経営層のお客様の多くは、若くて、リスクを恐れず挑戦し、責任を背負って、そして前向きで明るい方たちであり、自分にはぴかぴかに光って見えた。
ビジネスの真の醍醐味は、企業全体に対して意思決定を及ぼせる立場になって初めて分かると思いはじめていた。
Googleという素晴らしい会社で、ある営業部の責任者という立場を任せてもらっていたことは光栄なことではある。
しかし、それは会社全体の意思決定に関わるということとはほど遠く、ましてやアメリカに本社のあるこれほどまでの大企業では、日本にいる限りそれは望むべくもない。
"鶏口となるも牛後となるなかれ" という価値観に惹かれはじめたことを自覚していた。
追伸:あるお客様が、自らの言葉で、Google AdWordsを使い倒したことで事業の収益化に成功した体験を語っているビデオを紹介いたします。(
前編、
後編)
東京都西多摩郡で自動車の板金塗装を営む
池内自動車様の社長と私の対談になりますが、AdWordsがもたらすビジネスインパクト、その革新性をここまでシンプルに表現したお話しは貴重である。
広告がもたらすビジネスインパクトというのはシンプルに語られるべきものであり、シンプルであればあるほどパワフルなストーリーになる、だからこそAdWordsによってGoogleがここまでの成功をおさめることができたというのが私の経験からの持論である。
もっとも、ビデオ内でも語られているように、ビジネスインパクトを産み出すための試行錯誤を絶やさずに行うことが前提にはなるが、それこそがまさに
AdWordsが持つ革新的な部分なのである。
*本ビデオは2011年前半に撮影されたものであるが、本エントリーの内容と関連性が高いので、こちらで紹介いたします。